国土交通省が令和8年度予算概算要求のために作成した資料から、その概要と基本方針を詳細に説明されています。
要求の総額は国費で7兆812億円(対前年度比1.19倍)で、公共事業費の安定的かつ持続的な確保が図られています。
主要な施策は、「国民の安全・安心の確保」「持続的な経済成長の実現」「個性をいかした地域づくり」の三本柱に基づき、能登半島地震からの復旧・復興、国土強靱化の推進、インフラ老朽化対策に重点が置かれています。
また、成長戦略として、DXやGXの推進(i-Construction 2.0、CNPの形成など)や、物流・観光分野における集中改革を通じた生産性の向上と担い手確保が目指されています。さらに、地域交通の再設計(リ・デザイン)やコンパクト・プラス・ネットワークの強化を通じて、活力ある地方創生を支援する方針も示されています。
当社も積極的に取り組み始めている、DXおよびGX(デジタルトランスフォーメーションおよびグリーントランスフォーメーション)に関する令和8年度予算概算要求額について、前年度予算額(対前年度倍率)と比較してご説明します。
国土交通省の令和8年度予算概算要求において、「持続的な経済成長の実現」の主要な施策の柱として、DX・GXの推進が掲げられており、多くの関連分野で前年比を上回る増額が要求されています。
1. グリーントランスフォーメーション(GX)の推進
脱炭素社会の実現に向けたGXの推進は、「持続的な経済成長の実現」の施策の一つとして位置づけられています。
| 施策項目 | 令和8年度 要求額 | 対前年度倍率 | 関連情報 |
| 住宅・建築物の脱炭素対策等の強化 | 1,178億円 | 1.07倍 | 脱炭素効果の高い住宅・建築物の普及や木材利用の促進などに充当されます。 |
| グリーンインフラ、まちづくり GX 等の推進 | 173億円 | 1.19倍 | インフラ・まちづくり分野における脱炭素化を推進します。 |
| 交通分野における脱炭素化の推進 | 140億円 | 1.23倍 | カーボンニュートラルポート(CNP)の形成、SAF(持続可能な航空燃料)の導入促進、ゼロエミッション船の導入促進等に充当されます。 |
特に交通分野の脱炭素化(1.23倍)やインフラ・まちづくり分野(1.19倍)で増加が見られます。
2. デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進
国土交通分野のDXや技術開発等の推進は、「持続的な経済成長の実現」のための重要な施策です。特に横断的なDX推進は高い伸びを示しています。
| 施策項目 | 令和8年度 要求額 | 対前年度倍率 | 関連情報 |
| DXの推進等(国土交通分野横断) | 9億円 | 2.26倍 | 行政情報のデータ化・活用(Project LINKS等)を進め、社会全体の生産性向上を図るためのDX加速化に充てられます。 |
| i-Construction 2.0、建築・都市の DX 等の「インフラ分野の DX アクションプラン」の推進 | 129億円 | 1.29倍 | 2040年度までに建設現場の省人化3割、生産性向上1.5倍を目指すi-Construction 2.0の推進や、建築BIM、3D都市モデル(PLATEAU)を活用した建築・都市のDXを推進します。 |
| スマートシティの社会実装の加速 | 11億円 | 2.00倍 | 新技術や官民データ活用によるスマートシティの実装加速化を図ります。 |
| 地域交通のリ・デザインの全面展開 | 342億円 | 1.46倍 | 「交通空白」の解消に向けた施策であり、地域交通DXによる生産性向上や交通サービスの高度化が含まれます。 |
「DXの推進等」が2.26倍と最も高い伸び率を示しており、インフラ分野のDX推進も1.29倍と大きく増加しています。
これらの要求は、頻発する自然災害や老朽化したインフラの保全といった課題に直面する中で、生産性の向上等に寄与する戦略的な社会資本整備、そしてDX・GXの推進を通じて、物価上昇を上回る賃上げを起点とした成長型経済の実現を目指すという基本的な考え方に基づいています。
(注:上記の予算額は国土交通省の令和8年度予算概算要求の項目ごとの内訳であり、億円単位での計数については一部重複がある場合があります。)
▶動画でもチェックできます
この記事の内容を簡単に動画でもご紹介しています。
移動中や作業の合間に、耳だけでもご確認いただけます。
ぜひこちらからご視聴ください。